第1章 6つ子異世界へ
「うっひょーー!やっぱりミーは一人で行くザンス!ミーだけが金持ち、ミーだけが幸せ!うっひょっひょっひょ!」
一緒に行こうと声をかけたハタ坊やデカパンたちを残し、一人秘宝を求めてセスナで飛び立ったイヤミ。しかし。
ビーッビーッビー!機内に響く音。乗ったセスナは整備途中で、そのためにセスナがバラバラになっのだ。どんどん下降していくセスナ。
「シェエエエエ!落ちるザンス!ミー死ぬザンス!」
松野家ではおそ松がなにやら重要なことを言うからと、6つ子全員が集まっていた。
「実はお前たちに言わなきゃならない、重大なことがあるんだ」
何事かと思いながら聞く体制に入る兄弟たち。
「シェエエエエ!」
まさにそんな松野家に、イヤミのセスナが落ちて突き刺さった形になった。
「…………い…おい!」
「んぁ…?」
誰かが呼び掛ける声で気付いたおそ松が体を起こす。目の前にいたのは数人のグループのリーダーらしき男だった。
「……え?…ええええーーー?!誰、あんた?!」
周りを見回すとそこは、自分たちが住んでいた場所とはずいぶんかけ離れていた。
「ええええーーー?!ここどこ?!ええええーーー?!」
騒ぎで他の兄弟たちも目を覚ました。
「はああ?!何だ、ここは!おそ松、これはどういうことだ?!」
「俺に聞くなよ!なんでいつも俺なんだよ!」
「騒がしい人たちね」
男の後ろから女が出てきた。
「「か、かわいい!」」
別の男も口を出してきた。
「あんまり騒がれると、あいつらが寄ってくるんだよ」
「あいつら?」
「そこの窓から外を見てみなよ」
グループの最年少の少年に言われて窓に集まると、外には血まみれの人々が歩いているのが見える。
「みんな怪我してるじゃないか!どうして助けないんだ?!」
チョロ松が言うと6つ子全員がうなづく。
「怪我人じゃないの。あれはゾンビよ」
「「ゾンビ?!」」
もう一度外を見る。
「わ、ほんとだ!ほら見て、みんな!」
「トド松、何か見つけた…?」
「ほら、あれ!」
トド松が指さしたのは、心臓が撃ち抜かれたゾンビだった。
「………いやそもそもお前、心臓ないでしょ」
「ちょ、一松兄さん!今それ言う?!」
だがどう見ても生きている人間の肌の色ではない。それに歩き方や目付きもおかしい。表情もなく歩いている。