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魂の色【銀魂短編夢】

第11章 漂う(沖田夢)


苛つく沖田を嗜めつつ、遼はアザラシに「ばいばい」と手を振って、次のエリアへ沖田を誘う。

「他にも色々居ますから」
「魚なんて、うまけりゃそれでいいだろ」
「そんな事ばっかり言うんですから」

沖田のどんな反応にもにこにことしている遼に、今まで大切にしなかった事を思い出し、少しだけ後悔した。
もっと優しく出来たのではないか。
もっと、大切に出来たのではないか。
そんな想いが浮かんでは消えていく。

「ここで終わりみたいですね」

気付くと出口まで来ていて、遼が名残惜しそうに溜息をついた。
出口の横に土産物売場を見つけた沖田は、遼の手を離して吸い込まれるようにそこに入っていく。
遼が慌てて追いかけると、ぬいぐるみやキーホルダーが並ぶ棚の前で佇んでいた。

「あっ、可愛い」

先程見たクラゲやアザラシなど、様々な生き物のグッズが置いてあり、遼は思わずクラゲの根付けを手に取って眺める。

「このクラゲ、最初に見た水槽のですよね」
「……じゃあコレで」
「へ?」

遼の手からそれを取ると、沖田は会計を済ましてその包みを遼の掌に乗せた。

「えっ、あの」
「やる」
「あり、がとうございます」

受け取ったそれを眺めて動かない遼に、沖田は「どうした」と声をかける。

「沖田さん──じゃなくて、総悟から贈り物なんて、初めてでしたし、あの、すごく、嬉しくて」
「嬉しいなら、もうちょっと分かり易い顔しろよ」
「驚きの方が勝ってるんです。一生大切にしますね」
「んな安モンで大袈裟だな」

ふっと笑った沖田につられるように遼も微笑んだ。
沖田は改めて遼と手を繋いで歩き出す。

「メシ食いに行くか」
「はい」

頷いた遼に、沖田は極上の笑顔を浮かべようとして、それに成功した。








──おわり──
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