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魂の色【銀魂短編夢】

第1章 行方不明の片想い(銀八夢)


「坂田先生なんて、リターンズのオマケ栞が高杉くんの裏で白黒だったくせにぃ」
「いやいやフォエバーでは、表紙・裏表紙・ピンナップまで全部カラーの俺だから!」
「10年前の坂田先生に会いたかった……」

10年前の姿は目元もキリッとしていて、もうちょっと格好いい感じで描かれてたのに。
学ランかっこ良かったな。
今じゃ眉毛もぼさぼさしてるし、何か口元もだらしない。そもそも国語担当なのに白衣って何なんだ。

「……遼ちゃん何か今、すっげー失礼な事考えてね?」
「そうしないと、また泣きそうなんです」
「じゃあさ、こうしたら泣きやめるんじゃね?」
「は?」

抱き寄せられて、腕の中。
腕の、中?
見上げると、超近距離に坂田先生の顔。

「お。止まったじゃん」

パッと手を離され、我に返る。
今、何が起こった?
動け、思考!
と、自分に活を入れていると、またしても『ピンポンパンポーン』と放送を告げる音が鳴る。
ゴホン、という咳払いの後に松平先生の声が響いた。

『坂田先生、神武先生とイチャついてないで早く職員室に帰って来いってば』
『金八、女の子ば泣かすのは良くないぜよ』
『お前さぁ、時と場所を考えろよ』
『坂田先生、給料20%引きな』

『ピンポンパンポーン』

「……」
「…………また監視カメラかよ!小説版一巻一話の内容なんて、もう覚えてる奴いねーだろ!!」

坂田先生が黒板を殴りつけると、衝撃で「糖分」と書かれた額が落ち、監視カメラが姿を現す。
監視カメラなんて仕掛けてあったのか。
まあ、普段から素行が悪いからな。このクラス。
一度に色々あり過ぎて、いよいよ笑えてきた。
これぞ3Z。

「はーっ、何かバカバカしくなっちゃった」
「何がバカだって?」
「坂田先生の事じゃないですよ。私の気持ちとか、思い出とか、青春の1ページについてです」
「ふぅん。ま、泣き止んで良かったよ」

ポンと頭を叩かれ苦笑する。
やっぱり坂田先生とは、こういう関係でいたい。

「坂田先生、色々変な事言ってすみませんでした。それから……来年度も宜しくお願いします」

私の片想いは、もう少し続く。
坂田先生がこうやって、隣で笑ってくれる限り。


→オマケ
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