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魂の色【銀魂短編夢】

第17章 企画【〇〇しないと出られない部屋】


新八ver.

窓はおろか、出入口も見当たらない部屋で目を覚ました遼と新八は、部屋の中央にある無駄にデカいモニターを見つめて硬直していた。
モニターには、やたらと大きな文字で「ここは、キスしないと出られない部屋です」と表示され、二人を煽るように点滅している。

「新八くん、どうしようか」

尋ねてから、遼は何を聞いているんだと、慌てて訂正する。

「ごめんっ、今の無し!とっ、取り敢えず出口が無いか探そうか」
「そっ、そうですね。僕はあっちを見てみます」

手分けして部屋中を調べるが、やはり脱出出来るような所は無く、二人は肩を落として項垂れた。

「やっぱり、指示に従わないと駄目な感じなのかな」

モニターには延々と「キスをしないと出られません」という文字が流れ、時折煽るように点滅していた。
遼はモニターをじっと眺めると、ぎゅっと拳を握り締める。

(私の方が年上なんだから、しっかりしないと)

「ヨシ」と小さく気合いを入れて、遼は新八を振り返った。

「新八くん、ちょっとだけ我慢してくれる?」

新八の手を取った遼は、甲にキスをして素早く離れると、モニターに表示された文章に素っ頓狂な声をあげる。

「はぁ?!」
「えっ、つ、次は僕から?!」

新たに表示された指示は、新八が遼にキスをするようにという物で、ご丁寧に「手以外で」と捕捉されていた。

「てっ、手以外って……」
「一世一代の気持ちでキスしたのに!」

遼はモニターに怒りをぶつけるが、表示される指示に変化は無く、諦めて新八を振り返る。

「新八くん、あの……キス、してもらっていい?」

遼のお願いに、新八はごくりと喉を鳴らした。遼に恋心を抱いている新八としては、願ってもいない状況だが、いざキスをするとなると、迷ってしまう。

「えっと……どこにキスしても、大丈夫だから」

真っ赤な顔で告げる遼に、新八も覚悟を決めた。

「じゃ、じゃあ、失礼します」

ぎゅっと目を閉じてその瞬間を待つ遼の頬に触れる程度のキスをすると、カチャリという音と共に扉が開く。

「開いた、ね。行こうか」

耳まで真っ赤になった二人は、いそいそと部屋を後にする。
無意識に手を繋いだままで。
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