第9章 酷い夢
さくらは、一瞬何が起こったかわからなかった
勝手に漏れ出た源石術で天井が吹き飛んだのはわかった。だが、その後に天井から降りて来た人物の行動には理解できなかった
「さくら、だな。我々レユニオンと共に一緒に来てもらおう」
「ッ!!」
レユニオン。それは予めドクターから聞いていた"ついて行っちゃ駄目な組織"の名前と記憶している。ロドスの敵とも教わっていたため、勿論拒否をする。すると、その白い格好をした男は大振りの刃をさくらに向けた。
「…!」
人を殺す道具を向けられたことのないさくらはぞっとして一歩二歩、三歩と下がり、最終的には背中に壁が当たった。その壁が足元から順々に凍っていく。
「情報通り、平和な世界で暮らしてきたお前は死に怯える。…痛い目に遭いたくないだろう?」
「こ、来ないで…」
「なに、大人しくついて来てくれさえすれば悪いようにはしない。ここよりも良い環境に連れて行ってやるし、訓練などと、辛い目に遭うこともない。…元の世界にだって帰れる方法を見つけてやれる」
「!」
さくらの目が揺らぐのを見たレユニオンの兵士は剣を下ろし、代わりに手を差し出しながら近づく。
「さぁ」
「っ…」
さくらは一度前に踏み込み、ゴクリと息を飲んだ後、
―――地面を蹴って右の方へと逃げた。