第1章 怪盗ミューズ
「1班、そっちの状況はどうだ?」
『こちら1班。現在のところ異常ありません』
「引き続き気を引き締めていけ」
『了解しました』
緊張した空気が漂う館。玄関と館の中の金庫の前には数多くの警官がいる。指揮を取る警部は手にしたカードに目を落とした。
[今夜2時 アカッツカ博物館より奪われたレインボーダイヤをいただきにあがる 怪盗ミューズ]
時刻は午前1時30分。警部を始め10人ほどの警官がダイヤが入った金庫の前で待ち構える。そこへ館の主であるイヤミがメイドを連れて様子を見に来た。
「いいザンスか、カラ松警部。ミーの大切なダイヤに何かあったら、チミたちの責任ザンスからね!」
「それよりこの予告状にあるアカッツカ博物館から奪われたというのはどういうことなんですか?」
「え?!い、いや、そんなことより予告状を出してきた怪盗ミューズを逮捕するザンス!いいザンスね?!ほれ、メイド!お茶を入れるザンス!」
「はい」
メイドは言われた通り、お茶を入れて戻ってきた。そして警官たちにも配り始める。
「いや、我々にはお気遣いなく」
「いいんザンス。ミーがいいと言ってるんザンスから」
「…では交代でいただきます」
金庫から目を離さないように気をつけながらお茶を飲む。
「レインボーダイヤは世にも珍しい七色に輝くダイヤザンス。手に入れるのは苦労したザンスからねぇ。博物館の館長をだましt…いやいや、説得して盗nいやいや、手に入れたんザンスから」
「旦那様、もうすぐ約束の時間です」
「うっひょっひょっひょ。何が怪盗ミューズザンスか。この警官たちの前では手も足も出なかったザンスね。どれどれ」
イヤミが金庫を開けると、そこにダイヤはなかった。
「シェーーーー!何故ザンス?!これだけ警護を万全にしたのに!こら、メイド!チミがここにダイヤを入れたんザンスよね?!」
「はい。旦那様にもご確認いただきました」
怪盗ミューズからの予告状が来た時、イヤミがメイドに命令して入れさせたのだ。それをイヤミも至近距離で確認していて、その時にはダイヤはちゃんと金庫をの中にあった。それも金庫の前でイヤミが直接メイドに入れさせたのだ。
「私がダイヤを盗らないように、下着姿にさせてまで」
「え?!こんな年頃の女性にそんなことを?!」
「余計なことは言わなくていいザンス!」