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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第20章  番外編 其の壱【R18含む】



それはある日の昼下がりのこと。

宇髄家の門前で勢いよく声を張り上げた者がいた。

「頼もーっ!!!」

「は、はーいっ!あっ、れ、煉獄さんっ!ようこそいらっしゃいましたあぁっ」

慌てて取り次ぎに出てきた須磨は、門前で仁王像のように腕組みをして立っている杏寿郎の姿を見て、そのあまりにも威風堂々とした様子に思わず声を裏返らせた。

「うむ!須磨殿、宇髄は在宅かな?」

「は、はいぃ!どうぞこちらへ、ご案内いたしますぅう!」

杏寿郎の堂々とした振る舞いに萎縮した須磨は体を震わせながらも、唐突に訪れた金獅子のような客人を主の部屋へと案内したのだった。

「よォよォ、煉獄じゃねぇか!急にどうした。何かあったか?」

自室で煉獄を出迎えた宇髄は、普段通りの化粧をした顔に明るい笑顔を浮かべながら煉獄の肩にがっしりと腕を回した。

宇髄は、これと気を許した相手には特に愛情深い男で、そのせいかよくこうやって肩を組んだりと何かとスキンシップが多い。

「うむ!実はな、折り入って君に頼みがあるのだ!!」

「へぇ、俺に頼みねぇ?なんだぁ?咲との褥(しとね)の悩みとかかぁ~?」

冗談めかしてニヤニヤと笑いながら言った宇髄に、カッと杏寿郎の双眸が見開かれる。

「なんと!さすがだな宇髄!!たったこれだけの言葉でそこまでを察するとは、さすが元・忍の洞察力には凄まじいものがあるな!!」

「え…なに、マジで?」

曇りなき眼で見つめられた宇髄は、あんぐりと口を開ける。

「うむ!大マジだ!!」

腕組みをしていた杏寿郎が、すっと居住まいを正して両手を畳に付く。

「宇髄、どうか俺に教授いただきたい」

深々と下げられた燃えるような黄金色の頭を見下ろしながら、宇髄は呆気に取られるのと同時に、何やら面白いことが転がり込んできたと心が踊りだすのを感じたのだった。

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