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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第18章  共に



「げぇっ、げぇっ!!」

喉を掻き毟るような仕草をしながら、甚振は涙目で咲を睨み上げた。

「お前っ、まさか、あの臭ぇ香水を、飲ませやがったのか…っ!?」

細長い瞳孔の瞳が、まるでめまいでも起こしているかのようにブルブルブルと痙攣していた。

「ガアアアッ!!殺す!!殺すっ!!」

顔色が変わるほどの怒りで、甚振は激昂の叫び声を上げた。

ぐわああ、と伸びてくる甚振の腕。

だが、その体の左右には、いつの間にかピタリと杏寿郎と不死川が張り付いていた。

咲が作ったほんの一瞬の隙。

その気を逃さず、二人は甚振に接近していたのだ。

「炎の呼吸 弐の型 昇り炎天」

「風の呼吸 陸の型 黒風烟嵐」

ズバンッ、と二本の刀が綺麗に交差するようにして振り上げられる。

「……!!!」

甚振は声も出ない。

「「咲っ!!!」」

杏寿郎と不死川が叫んだ。

「「止めを刺せええっ!!」」

咲は腰に付けた拳銃を素早く引き抜き、引き金に指をかけた。

ぐらりと体が傾きそうになる。

だがそれを、四方から伸びてきた八本の腕が、がっしりと支えた。

後ろから炭治郎と禰豆子が、左右からは善逸と伊之助が。

「いけえぇっ!!咲!!!」

「家族の…っ、仇……っ!!」

バァンと、放たれた弾はまっすぐに飛び、骨一本になった甚振の首のど真ん中を見事に打ち抜いた。

はじけ飛ぶように胴体から切断された首は、ベチャンと汚い音を立てて地面に落下した。

「なっ…お、おい、嘘…だろ、……こっ、この、俺がっ、俺がああァァァ――………」

断末魔の叫びを上げながら、目を血走らせた甚振の首は、夜の闇の中へ跡形もなく崩れ去っていったのだった。

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