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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第18章  共に



「何だァ…これはァ…」

異様な光景とむせ返るような血の臭いに眉を寄せて、傍らにいる咲を庇うようにして腕を広げた不死川は、腰を落として辺りに素早く目を走らせる。

その傷だらけの腕の後ろで、咲は顔にびっしょりと汗を浮かべていた。

「この光景…見たことがある…!これは…下弦の弐の仕業です…っ」

そう言った途端、シュッと空を切るような音がして、咲は不死川におおいかぶさられて地面に伏していた。

「おいおい、俺はいつまでも弐に甘んじてるような奴じゃないぜぇ?今は下弦の壱になったんだぜ」

串刺しにした人間にまたがるようにして、木の上から甚振(しんじん)が笑みを浮かべてこちらを見下ろしていた。

ザッ

と、鬼の言葉に応えることもなく不死川が踏み込む。

「風の呼吸 肆の型 上昇砂塵嵐」

不死川の刀から繰り出されたとてつもない突風。

思わず咲達が腕で顔を覆った時には、すでに不死川と甚振の激しい打ち合いが始まっていた。

「わああっ!!」

後方で悲鳴が上がる。

「おっ、鬼だあぁ!!いつの間にこんなにっ!!」

気が付くと、茂みの陰から幾人もの鬼が体を覗かせており、いつの間にか隊は鬼達に取り囲まれていた。

「お前らァ!!隠を守れェ!!!」

甚振と目にも止まらぬ速さで打ち合っている不死川から怒号が飛ぶ。

同道していた剣士達は、すでに刀を抜いて鬼に対峙していた。

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