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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第16章  つりあい



連れ立って出ていった善逸達を見送ってから、先ほどまでの賑やかさが嘘のように静かになった縁側に、炭治郎と咲は並んで腰掛けた。

「咲、今日はありがとう。それと…色々面倒かけてごめんね」

請求書類の修正作業の事を言って炭治郎が申し訳なさそうに苦笑したので、咲は慌てて首を振った。

「いえいえ!私の方こそ細かいところまですみません」

そう言って手を振る咲を見て、炭治郎は何故かホッとしたような顔をした。

「良かった、咲が元気で。昼にも言ったけど、俺、ホントに心配してたんだ。任務とか、怪我とかでお見舞いにも行けなかったけど、ずっと咲のことが気に掛かってた」

「炭治郎さん…」

ジーンと、胸が温かくなってきて、咲は思わず鼻の奥が痛くなる。

「倒れているところを発見された、って聞いたけど、一体何があったんだ?」

噂を聞いたとは言え、詳細なことまでは伝わっていないらしい炭治郎に、咲はあの晩にあった出来事を順を追って説明したのだった。

「じゃあ、咲は何故か傷の手当てをされて、椅子に寝かされていたってことなの?」

「はい。たまたま通りかかった杏寿郎さんが見つけてくれて、蝶屋敷まで運んでくださったんです」

杏寿郎の名前を口に出した時、頭の中に先日の告白の場面が思いがけず鮮明に浮かび上がってきて、咲はちょっと顔を伏せた。

そんな咲の姿と、彼女からふいに香ってきたある匂いに気づいた炭治郎は、

「咲?…もしかして、煉獄さんと何かあった?」

と、聞いた。

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