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【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第14章  冨岡さん、一体どういうことですか?



柱二人の活躍と、炭治郎達の頑張りにより、その夜は死者を一人も出さないで済んだのだった。

任務を終えた一同は、近くの藤の花の家紋の家で休息を取ることにした。

藤の花の家紋の描かれた門を叩くと、くぐり戸から小柄な老婆が姿を現し、

「さぁ、どうぞ中へお入りください」

と、流れるような動作で中へ招き入れてくれた。

「ババア!来たぜ!」

伊之助が弾けるような声を上げて老婆に向かって駆け寄っていく。

「伊之助!!そんな呼び方失礼だぞ!!」

炭治郎が慌ててその後を追うが、伊之助はもうすでに老婆の周りを飛び跳ね始めている。

「すみません、ひさ さん」

炭治郎が謝ると、ひさ、と呼ばれた老婆は、線を引いたような目を僅かに垂れさせて穏やかに笑った。

「いいえ、ようこそおいでくださいました」


すでに明け方近くなっていたので、辺りはうっすらと白んできている。

それでも通常は、人々はまだ眠っている時間だ。

それにも関わらず、ひさ、は一同のために食事を用意してくれたのだった。

「天ぷら!天ぷら!」

箱膳に用意された、黄色い衣が花の咲くように広がった食べ物を前にして伊之助が歓喜の声を上げる。

ニコニコと笑いながら椀に飯をよそっている ひさ は、まるで孫を見るような視線を伊之助に向けていた。

箱膳には天ぷらの他にも、煮物におひたし、漬物、そして温かな味噌汁も添えられていた。

こんな朝早くから用意するには大変な献立である。

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