• テキストサイズ

【鬼滅の刃/煉獄】冬来たりなば春遠からじ

第11章  倒したのお前やで



まきをは一見すると須磨への当たりがキツイように見える。

だが実は、忍の修行時代から須磨のことは妹分としてずっと面倒を見てきており、口調は厳しいが何かと手助けをして守ってやってきたのだ。

何も知らない人が見たらイビリかと思ってしまうかもしれないが、実際はとんでもない。

まきをは須磨のことを実の妹のように大切に思っているのだった。

ただ、態度でそうと示せないのは、やや意地っ張りで照れ屋な性格ゆえである。

そのことを雛鶴も宇髄もよく理解しているから、まきをが須磨を追い立てていてもニコニコと微笑みながら見つめている。

ちょくちょく、まきをは須磨の頬を張るが、すごいのは音だけで実際は大して力を入れていないので痛くもない。

そういうパフォーマンスも、くノ一の技の一つであるらしかった。

やや子どもっぽさの残る須磨は、時にはそれをまるで小さな子どもが母親に告げ口するようにして、宇髄に「まきをさんがぶったー!見ましたか天元様!!」と泣きついたりする。

そしてまた、まきをに叱られる。

ぎゃあぎゃあと騒がしくはあるが、それもまた二人の一連のコミュニケーションなのであった。

須磨とて、忍の修行時代から、ぶっきらぼうではあるが何くれとなく面倒を見てくれるまきをの気持ちを理解していない訳ではない。

むしろ、何かと助けてくれる彼女のことを実の姉のように慕っていた。

しかしなにぶん、子どもっぽい須磨のことである。

まきをの愛のムチに時にはむくれることもある。

ちょうど、素直になれない年頃の妹みたいなものであった。

「おっ、咲も手伝ってくれるのかい?エライねェ」

台所に入ってきた咲の姿に気付いたまきをが、握り飯を作りながらニカッと笑う。

「咲ちゃん、ありがとぉ!」

味噌汁を椀に注ぎながら、須磨もくるりと顔を向ける。

「じゃあ咲、この、お膳を運んでくれるかしら」

「はい!」

雛鶴から指示された料理の数々を、咲は次々と座敷へと運んで行ったのだった。

/ 525ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp