第10章 心の奥にあるものは?② トレイ・クローバー
「俺といるのに他の男の名前を言うのか?」
その瞬間、トレイの纏う雰囲気が変わる。
どす黒くて怒りと嫉妬の色で染まった雰囲気に変わり、一気に固くなった肉棒をねじ込まれた。
「あああっ?!はあっ、はあっ、はあ…」
全身を貫く快感が走り、頭がふわふわする。
急な快感に肺からは甘い息しか出てこず、呼吸もままならない。
「俺だけを見ろよ」
一瞬、トレイが悲しそうな顔をしたと思ったのも束の間、ピストンが私を襲い、彼の表情を伺わせる余裕なんてなくなった。
「ずっと…こうして、たかったんだ…」
「ああっ、う、んん!やだぁっ、おわってよぉ…あ、はあっ!んあっ、ああ!」
ーシュンくんのとはまるで違う…!
今までのシュンくんとの愛のある性交とは比べ物にならないくらい、トレイとの愛のない独りよがりな性交は私を溶かしていく。
頭の先からつま先まで全部がドロドロになっていって、シーツを握りしめる力すら無くなる。
溢れる快感は涙と汗と嬌声に変わり、目が回りそうだ。
罪悪感に蜜が塗られていって、危険な甘い香りのする背徳感に変わっていく。
「まだ嫌だなんて言えるんだな、こんなに感じといて…何が嫌なのかさっぱり俺にはさっぱりなんだけど?」
…確かに。
何が嫌なんだろう?
トレイの一言で私の中で何かが消えた。
その何かさえ分からなくなって。
「俺ももうイきそうだけど…ナカに出していいよな?」
「うんっ、いいよ…ああ!ん、ふぅ…あう!ああん、出して…」
出し入れがさらに激しくなり、淫らな水音も激しさを増す。
目の前が白くなって、もう私の頭の中にはトレイしかいなかった。
「あっ、あっ、あ、んんんん〜〜〜っ!!」
「っ…!」
トレイが眉根を寄せて私のナカで震えると、下腹部がじんわりと暖かくなる。
トレイは私の乱れた前髪を掻き分けておでこにキスを落とす。
「また…来てくれるか?」
答えは1つだった。