第7章 誰のせい?② ジェイド・リーチ
「あはは…そう思ってくれているのはジェイド先輩くらいですよ」
「でしたら、そんな彼のことを忘れに行きましょう?辛いことなんて貴女には似合いません」
悪魔の囁きのようにジェイド先輩の言葉は頭を巡っていく。
「貴女が嫌でなければ、この手を握って下さいませんか?」
春なのに黒い手袋を付けた右手を出される。
はたから見たら優しい紳士のような微笑みは、私から見れば悪魔のような人を惑わす微笑みだった。
ー…ぜんぶ、あなたが悪いんだから…
私はジェイド先輩の手を握り返した。