第3章 リンドウを貴女に ジェイド・リーチ
目の前が真っ暗になった。
ふらりと後ろに倒れそうになる所をジェイド先輩が支え、私の唇を親指でなぞった。
「そ、んな…うそ…」
「僕の言うことが嘘だと思います?」
そんな風には思えなかった。
私はジェイド先輩を本当に頼りにしているのだ。
私は首を横に振った。
「大丈夫ですよ、僕は貴女のことを忘れたりなんかしませんし、死ぬまで愛して差し上げます。こちらにいた方が幸せだと…気付かせてあげますから」
耳元で囁かれた言葉が頭の中に毒が回るようにこだまする。
「これが貴女の幸せなんです」
そうだ…そうなんだ。
ジェイド先輩は嘘をつかない。
いつだって私を思ってくれていたジェイド先輩が私のために鏡を割ってくれたんだ。
私が悲しまないように。
「さぁ…口を開けて、教えてください。私を恨むのか、愛するのか」
耳殻をジェイド先輩の指がゆっくりとなぞり、こそばゆい快感が流れる。
私は涙をつたった震える唇を大きく開けた。
闇の中でゆらゆらと2つの双眸が私を見据えて美しく歪んだ。