第3章 リンドウを貴女に ジェイド・リーチ
「ふあぁ〜…ねっむぅ…ん?ジェイドぉ、どっか行くの?」
フロイドは僕のベッドの上で大きな欠伸をしながら目を擦る。
「はい、少し野暮用が出来たので行ってきます」
僕はネクタイを締め直し、鏡に向かった。
「何の用なの?ジェイドが行くなら俺も行く〜」
フロイドがベッドから起き上がって、後ろから長い腕を回して抱きしめてきた。
僕はその腕をやんわりと取り払ってフロイドの肩に手を置いて、じっとフロイドの目を見つめた。
「夜にしか採れないきのこを採りに行くのを手伝ってくれるんですね、ありがとうございます」
そう言うと、フロイドはあからさまに嫌な顔をして、僕の手をとっぱらい、またベッドにダイブした。
「なぁんだ、きのこかよ…もう俺眠いしここで寝ていい?」
大きく伸びをして僕の枕に顔を擦り付けているのを見る限り、退けと言っても退かないのは目に見えていた。
小さくため息をついて、僕はフロイドに布団をかける。
「いいですよ、ではおやすみなさい」
「うん、おやすみぃ…」
ベッドの近くにあるランプを消すと、部屋は暗闇に包まれる。
フロイドの寝息がすぐに聞こえてくるのを確認して僕は部屋を出た。