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帰るべき場所

第10章 死の森


 先程は抗えずに仕方なく従ったが、シズクはサスケ達のことが気がかりだった。休息場所から少し離れたところで立ち止まり印を結ぶと、サクラがいた場所に瞬時に戻って来る。
 嫌な予感は的中していた。霧隠れの忍が三人、サクラ達を襲っている。その内の一人が応戦するサクラを追い詰めていた。
 気配を消したシズクはクナイを放つ。サクラに切り掛かっていた敵が攻撃に気付いて飛び退いた、その一瞬の隙に前に出た。

「…シズク…!?」
「…おや、お嬢さん…あんまり出しゃばるとケガするよ」
「いいじゃないか、巻物が増えたんだし」

 獲物が増えた嬉しさで勝手に話を進める霧忍達。彼等は分身術が得意なようだ。シズクも分身で対抗するが、向こうはそれを上回る数でこちらを威圧しじりじりと追い詰めてくる。
 分身を多用するってことは、本体は離れた場所にいるのかも…

「サクラ、離れて」

 そう分析し起爆札付きクナイを地面へ向け数本放つと、敵本体が慌てて飛び出てきた。

「…くっ、こいつ…」

 シズクの力が予想外だったのか、霧忍達はターゲットを切り替える。突然あらぬ方向にクナイを投げたのだ。クナイの向かった先には気絶したサスケがいる。シズクは無我夢中で駆け出していた。

「シズク!」

 サクラが青ざめて叫ぶ。サスケを庇ったシズクの背中にクナイが突き刺さった。

「……ッ」
「お~健気だねえ。さっさと持ってる巻物出しとけば良かったのになァ」

 形勢が逆転し薄笑いでシズクに近付く霧忍達。だが急にその一人が短くうめき声を上げる。
 そこには、物凄い早さで敵の後ろを取り一撃を喰らわせたセツナの姿があった。



 セツナの応戦のお陰で深手を負った霧忍達は退散し、森に静寂が戻る。すぐさま彼はシズクの怪我の治療を始めた。

「少し我慢しろ」

 ひと言おいて刺さったクナイを引き抜く。すかさず止血をし、応急処置を施していく。






















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