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帰るべき場所

第10章 死の森


 中忍選抜試験は難題を突破しながら進み、第二次試験に突入する。会場は、死の森と呼ばれる第四十四演習場となった。そこで課せられたのは、森の中で五日の間に天地二つの巻物を揃えて中央の塔にチームでゴールするというサバイバル戦だった。スタート時に各チームには一種類の巻物が与えられる。もう一つは他チームから奪うしかない。ついに本格的な実戦が始まり、緊張と興奮が死の森を包み込む。
 シズク達は開始早々他里のチームから巻物を奪っていたが、それは自分達の物と同じ書だった。結局ふりだしに戻ってしまい、その後はヒタキが敵状視察を提案し三人ばらばらに近辺を見回っていた。
 その途中でシズクは、明らかに様子のおかしいサクラを発見した。かなり取り乱しているようで悲鳴にも似た声が響いてくる。

「大声上げてると、敵が寄って来るわ」

 シズクが少し離れた木の上から声を掛けると、サクラはびくっとして振り向いた。

「…シズク…!」
「どうしたの?」
「サスケくんとナルトが、大蛇丸ってヤツに襲われたのよ…!」

 上体を屈めてうずくまるサクラの腕には、ぐったりとしたサスケが抱きかかえられている。ナルトも意識を失っているのか倒れたきり動かない。その光景を確認し、シズクは彼女の動揺を理解した。だが彼等の側へ寄ろうとした瞬間、突然隣にセツナが現れ腕を取られる。

「シズク、何してる?他チームを見つけても戻れと言われてるだろ」

 有無を言わせぬ強引さで腕を掴まれたまま、セツナに連れ帰られてしまった。



 死の森は闇に包まれ、今は虫達の声しか聞こえてこない。夜の間は木々にまぎれて隠れ、休息を取っているチームが多いだろう、シズクの班もそうだった。
 眠っている二人に気付かれぬよう、シズクは寝床を抜け出す。
 大蛇丸の名は以前に聞いた事がある気がする。暁にも所属していたはずだが、薄い記憶の中でも友好的な印象はない。
 …さっきの感じだと、サスケもナルト君も戦える状況じゃない。そこを狙われたら……






















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