第7章 慕情
「てめーはうちはサスケ!野郎…シズクから離れろ!」
「サスケはあたしを助けてくれたの」
予想通りの罵声が響き、無駄だと解っている様子ながらもシズクが弁明した。するとセツナは足音荒く彼女に近付いて行く。
「一体何から守ってくれちゃったんだぁ?ここには敵なんかいねえぞ」
「トラップから!あたしの作った…」
「あ、これやっぱシズクの罠か。セツナをハメる為の」
ここに辿り着くまでトラップをいちいち解除して来たらしく、ヒタキが納得したように頷く。しかしセツナは鼻でフンと笑った。
「甘いなシズク。オレとシズクの間には何を仕掛けても障害になんねーの」
そしてやはり矛先はこちらに向かうらしく、サスケを指差して挑発してくる。
「シズクを守るのはオレの仕事なワケだからうちはサスケ、お前は引っ込んでろ」
「守る…?見たところ、シズクはお前から逃れようとしているみたいだが?」
「てめーは…やっぱ生意気!」
反論するサスケに殴り掛かろうとするセツナを後ろから羽交い締めにしてヒタキが止める。サスケがふう、と疲れたため息を漏らすと、隣にいたシズクがこそこそと耳打ちしてきた。
「あたしの修業についてくるって言うから」
「…それであのトラップか。でもそれじゃ呼び寄せてるのと同じだぞ」
「離せヒタキ!シズク、オレの元に戻ってこいぃー」
落ち着きを失い嘆くセツナに、シズクが仕方ないという風に向き直った。
「わかった…セツナ、後であたしの修業の成果見てもらってもいい?」
「修業のせーか?」
半泣きでへそを曲げたセツナに近寄り、彼女は顔を上げて彼を見つめる。
「うん、セツナに見てもらいたいから…」
「…オレに?」
「うん。その時色々教えて」
シズクが優しく諭して微笑みかける。するとセツナは納得いったのか急に元気になった。
「よし!後でオレ様が手取り足取り教えてやる!」