第7章 慕情
里外での任務についた第七班は、しばらく木ノ葉を出て他国で奮闘していた。ようやくその任務を終えたサスケは、休暇となった日にぶらっと修業の森を訪れてみた。
「あーっ、そこ危ない!」
いきなり声がして立ち止まると、少し離れた木の上でシズクが慌てている姿が視界に映った。
「シズク、来てたのか」
久し振りのその声を懐かしんでいたが、余韻に浸る暇もなく彼女に退避を指示される。
「そこ、トラップあるから!」
「…トラップ?なんでそんなモン仕掛けてんだ」
他にもあるから、と注意を促しながらシズクがトラップを避けて木から下りてくる。こちらに駆け寄った彼女はサスケを見て表情を変えた。
「…あれ?久しぶりに会ったと思ったら傷だらけじゃない、大丈夫?」
霧隠れの追い忍、白と戦った時の傷がまだ癒えず、サスケは腕や足に包帯をしていた。彼女はそれらを心配そうに見つめている。
「ああ。ちょっと波の国での任務に手こずってな」
「包帯、ちゃんと取り替えてる?家から薬持ってこようか?」
向きを変えて走り出そうとするシズクだったが、トラップの存在が頭から抜けてしまったのか見事に引っ掛かる。
「きゃ…」
「ばか…!」
ロープがシズクの足に掛かった瞬間、クナイが彼女へ向かって飛んでいく。体勢を崩したシズクを瞬時に抱きかかえ、サスケはそのまま転がって間一髪彼女を助けた。
「いたた…」
「ばか!自分の作ったトラップに引っ掛かるな!」
「ごめんなさ…」
起き上がろうと上を向いたシズクと、彼女を庇い覆い被さっていたサスケとの距離が縮まる。思いの外接近してお互いに言葉を失い見つめ合った。
「あらら…俺達お邪魔かもよ」
「てめー何やってんだオレのシズクにィー!」
盗み見でもしていたのかと疑う程のタイミングの悪さで、怒鳴り声のセツナと彼をなだめるヒタキがやって来た。この状況を前にしてセツナが不機嫌になっているのが容易に分かる。ヒタキは既に苦笑していた。