第6章 海底から見る光
潜水艦内の処置室で、ゆっくりと目をさます。
明かりのついた広い空間。
窓がないこの部屋では、外の明るさがわからず、時間を推測することもできない。そもそも、窓があったとしても、深く潜っていれば外は真っ暗なようだ。
長く眠っていたような気がする。
『珀鉛病』の痛みに邪魔されることなく眠り続けたのは、いつぶりだろう。
ぼんやりした頭で、しんとした部屋を見渡すと、ベッドサイドにアルコの竪琴が立て掛けてあるのを見つけた。
引き寄せようと伸ばした腕に、点滴が繋がれていることに気づく。
ゆっくりとした動きでベッドの上にあぐらをかき、竪琴を足の中に携える。
── グローブを外して弾くのは、久しぶりね
グローブをしたまま竪琴の弦をはじくことにはずいぶん慣れたが、素手で弾くことの心地よさには代えられない。
アルコは、素手の両手の指をバラバラに もにょもにょ動かしながら気持ちを高めた。ふと、ドレスのポケットに膨らみを感じる。
「……あ」
ポケットに しまいっぱなしだったハートのネックレスと焦げ茶色の革のロンググローブを取り出し、2つの無事を確かめる。
ハートのネックレスは、
ナミからもらったもの。
革のグローブは、
白いアザを隠すためと、ゾロが腕をなぞった感覚を封印するために、元ドラム王国で購入したものだ。
どちらも“麦わらの一味”からもらった、
常に思い出したいもの と
常に思い出したくないもの
相反する気持ちを表した2つのアイテムを、枕元に大事に置く。