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【名探偵コナン】misty【降谷零/沖矢昴】

第5章 情愛と譲歩


『ねぇ、私の家へは帰れないの?』
「大丈夫だか、向こうの方がいいのか?」
『うん…』

自分の家で"彼の保護の元"生活する事になった。
沖矢に伝えたい事もあり、鍵や荷物などを取りに工藤邸へ戻った。

『れ…透はここで待っていて』

渋る彼を工藤邸の前に車を停めさせ一人中へ入る。
玄関まで行くとドアが開かれ沖矢にいつもの自然な流れで迎え入れられる。

『ありがとう』
「いえ」

耳打ちされた優作の言葉を思い出す。 
"頑固で生真面目な女だから梃子では動かない。骨抜きにされたくなければ彼の元へ帰ることだ"

『骨抜きは…困るもの』

伝えられた言葉を思い出しながら困った顔で笑う。

「自信はありますから、いつでも『私も、その自信はあるわ?だから慎んでお断りするわね』

不敵にふふっと笑い返すに肩を竦めて見せる沖矢。

『ジョディさんに頂いた服…』
「…少し残しておくのは?」
『? ここに?』
「必要になる事もあるかもしれませんし」

少し訝しげに見ると悪びれもなく貼り付けた表情をしている。

『そうね…工藤さんに怒られないかしら』
「大丈夫ですよ」

「"含めて"話は通してあります」と言ってのける沖矢。
どの段階でどこまで…は怖いから聞かないでおくだった。

荷物を少しだけまとめバッグを肩に下げ部屋を出る。
玄関で「これを」と電源の落とされたままのスマホを返された。

『…しゅ…、昴が持っていたの?』
「いえ、博士に預かってもらっていました」
『ありがとう。色々と…ね』

結局のところ大人な沖矢に甘え利己的な結果になってしまったは、ふり返らずに工藤邸を出た。

『お待たせ!ありがとう!』
「…遅かったな」
『え、なに。妬いているの?』

トランクに荷物を詰め込みながら飄々と言うに、少し驚いた顔をする安室。
本人は気づかず沖矢と過ごした時間で、の性質にほんの少しだけ変化をもたらせていた。

『あ…お願いがあるの』

「何だ」と何を言い出すのか不安そうな安室に『運転したい!』と言う。
愛車を他人に運転させるなんてあり得ない事だ!、ったと彼は心の中で思う。

車を降りる彼をそっちのけに嬉しそうに運転席に乗りハンドルを握る。
自分は大概彼女に甘いと、助手席にうつる安室だった。

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