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【名探偵コナン】misty【降谷零/沖矢昴】

第1章 記憶と感覚


『この部屋を見て何も言わないのね』

ガラスケースに視線をやると安室も視線を移し、目の前に立った。
指紋認証に指をあてるとケースが開いた。

「設置したのが俺だからな」
『…そう』
「何も覚えてないんだな」
『時々不意に言葉には出てるの、あとは身体の感覚と勘で動いている感じよ…』
「勘はやめた方がいいな、良い方じゃない」

貼り付けでも何でも無く柔らかい笑顔を向ける安室には目を見開いて驚いた。

『零はその顔の方がいいわ、可愛らしくて』
 
何気なく笑いながら返すに今度は安室が目を見開いた。
は自分が言った言葉の意味が分からずに固まった。

「?」
『零って……誰?』

固まるを後ろから抱きしめた。

『あなた安室 零って言うの?』
「安室 透で…」
『?』
「俺は、降谷 零だ」
『偽名なの?』
「安室 透がな」
『私は ?合ってる?』
「あぁ、合っている」

なぜか自分の名前も偽名ではないかと不安になり確かめた。

『ちなみに年は24らしいわ』
「知っている」
『あなたは?』
「29だ」
『あら年上だったのね』

後ろから抱きしめられながら他愛なく感じる会話もお互いを確認し認識する時間に胸が暖かく感じるだった。

『話せる事でいいわ、教えて』
「安室 透は毛利探偵事務所に近づくための偽名だ」
『降谷 零は?』
「公安の俺だ」 
『公安!?』
「あぁ、公にする事はできない」
『潜入捜査とかするものね』 

『他には?』
「はニ年前に姿を消した」
『でも家は知ってたのよね?』
「合鍵で何度か入ったさ、だが帰宅している気配も何も無かった」
『…そう、心配かけたわね』
「俺が駄目になるかと思ったくらいだ」
『"私"愛されてたのね』

"私"と過去形は自分への線引き。
愛されたのは"私"であって私ではない。

「、俺は!」
『ごめんなさい。あなたの知る"私"は"私"であって"今の私"ではない…』
「…」
『あなたの事も最近知り合った人。たまたま秘密は握ってしまったけれど』
「…そうか」

私を抱きしめる腕がゆっくりと離れた。
今どんな顔をしているのか彼の顔を見ることはできなかった。
そんな私の顔も彼には見せたくなかった。
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