第1章 止まれこの想い『宇髄天元』
明けたのだ。
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「華ちゃぁぁぁん!!!」
私が天元様に連れられて家に戻ると、一目散に須磨さんが私のもとに駆けてきた。
「うぁぁぁぁんごめんねぇぇえ私のせいだよねぇぇ天元様のことは嫌いにならないでぇええ!!」
「え、あ、あの...」
状況がついていけずに助けを求めると横からまきをさんが出てくる。
「こいつ、鎹鴉から聞いた内容全く頭に入ってないの。あんたと天元様が仲直りしたってこと、鴉から聞いたよ。辛い思いさせてごめんね。」
「!!」
いつにもなく優しい口調で私に抱きついてくるまきをさん。
その言葉にどれだけ心配させたのかが分かる。
するとその後ろから雛鶴さんも出てきて、そっと私の空いている場所に抱きついた。
「私も、凄く心配しました。でも華さんのことは何にも差別なんかしてませんよ。」
「っ....」
本気で感動して視界がゆるゆると狭まる。
するとその上にさらに天元様が被さってきた。
そして小さい声で私に囁く。
「ほら、お前は一人なんかじゃないだろ?」
「っ、はいっ....!!」
にっこりと笑う天元様につられて私も笑顔になる。
すると天元様はさらに笑みを深めた。
「ド派手にイイ顔してんじゃねぇか。その顔、これからも見せてくれよ。」
「はい....!!!」
そう笑うといつのまにか離れていた周りのみんなが家の玄関で手を振っている。
「仲いいことは良いけど、もうご飯の時間だから入りましょうー?」
「そうです!一緒にご飯食べるのですっ!!」
「その敬語気持ち悪いからやめたら?」
「うぁぁあ、またまきをさんが意地悪をぉぉ!!」
「まぁまぁ落ち着いてっ...」
そのいつもの様子に天元様と顔を見合わせてにっこり笑う。
そして天元様に手を握ってもらいながら私は歩き出した。
また新しい生活の中に。
大好きな人に包まれる
光の中に。
終。