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君と見るセカイの色は【マギ】

第5章 海を渡って


そこからのやりとりは早かった。

紅炎とジャーファルが何枚かの紙を見合うと、会談はお開きとなる。

「申し訳ありません。我が王が欠席のため、正式な同盟を結ぶ場とすることが出来ませんでした。」

「いや、此方も陛下の代理という立場。気にしていない。残念だが
がまたの機会に。」

2人が握手をし、たったこれだけで仮だが同盟は結ばれたらしい。
正式なものではないというのに、両方なぜか言葉とは裏腹に残念がってはいない。

カナが数歩離れた位置から2人を見ていると、ふと横から視線を感じた。

見上げると、紅炎達のように真っ赤な髪と…逞しい鎧を纏った体。


ほぼ裸……
カナは顔を真っ赤にして視線を外した。

あんなに露出の多い……男性が……。

私が知らなかっただけで、これがシンドリアでの文化なら失礼になってしまう……



「……この人運んでいいんすか?」
大きな体から低い声が聞こえている。

「いや、待て。」

紅炎がそう言うと、マスルールは一歩離れた。

「紅奏」

紅炎に呼ばれ、カナは紅炎の元へ走る。

すると紅炎は顔をカナの耳元へ近づける。

「……いい報告を待っている。」
体の芯を揺さぶるような低い声に、体全体がドクドクとする。
「はい……。」
まるで、見えない鎖がまだ体中に巻きついているようだ。

あぁ、この人には逆らえない。
抗えないのか。そう思った。




「ではまいりましょうか。」
ジャーファルがそう言うと、マスルールがカナを抱きかかえようと近づいた。

「お心遣い感謝しますが、結構です。」

自分の足でシンドリアの船に向かう。
途中、足を止めてそっと振り返るが、何もなかったかのように紅炎と紅明がシンドリアからの使者と会話する後ろ姿が見えた。

振り向いてもくれない。
所詮彼らにとって私は駒のひとつなのか。


虚しくなる胸を押さえた。


そしてジャーファルはその様子を横目に険しい表情で見ていたことにカナは気づいてはいなかった。

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