第5章 紅狼ト云ウ狼
── 紅狼邸 ──
『……………』
家に着くやいなや開いた口が塞がらない
『私……貴族様、なの………?』
「そうじゃ、此処が主の本当の家じゃ。」
『かあ、様?』
「よいよい、硬くならずとも。」
ダダダダダダダッ
奥から誰かが走ってくる
「ワウッワンワン!!」
「壊牙!!!!」
現れたのは一匹の"狼"と一人の男
「あなた!また部屋から出て!!」
見覚えのある"狼"に
自分に似ている男
「あぁ、壊牙だ………見れば分かる、壊牙………おかえり」
「くぅ〜ん」
涙を流し慈しむように頭を撫でる
『…とッ、さま?…"わんわん"………?』
壊牙も瞳に涙を溜める
(あぁ、此処に居たのね。それに、私は知っている……この人達を、ずっと……ずっと心に居た。最初は誰なのか分からなかった……だけど、今なら分かる)
『ただいまッ………!!』
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奪ったモノを返して行こう
しかし
その重さに耐えられるのか