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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第9章 夢浮橋



「修君……
こういうことは、どこかでケリをつけなきゃ
いけないんだよね。

頭ではわかってはいたのに……
自分の寂しい気持ちに負けて、
ここまでズルズルと引きずってきてしまった…」

言いながら、涙声になっていくのに気がついて
智は両手で顔を覆った。

「先生…?大丈夫ですか?」

翔と同じ優しい声が、気遣ってくれる。

きっと、さぞ情けない顔をしているのだろう。
でも、涙が止まらない。

「本当は、将来のある若者を引き込んじゃ
いけなかったんだ……

わかっていたことなのに……

自分から手を放すってのは、
すごく勇気ががいるから……。」

自分でも何が言いたいのか解らなくなって
しまって、言葉が支離滅裂になってしまう。

でも、これしか方法がないとわかっているのに
ちっとも理性が働かない。

それは多分、悲しい気持ちと悔しい気持ち
やるせない気持ちが入り混じっているから……

声も指先も震えているのが自分でもわかる。

これが本当の自分なのだ。
みっもないぐらい感情を垂れ流すことしか
できないダメな男なのだ……



こんなんじゃ、たとえ一念発起して
翔のためにと自分を押し殺しても……

どうせ長続きはなんかしないだろう。

(俺は……


生まれ変わったとしても俺にしかなれないーー!!)

だから、もう我慢なんてしない。

瞼が腫れるまで泣き尽くした。
どん底まで落ちて……
きっと何年……何十年たってきっといつの日か
見事に返り咲いてみせるから……


「もういいんだ。
翔が治って、元通りサッカーがやれるように
なってくれれば……

もう何も望まない………………。」

涙腺崩壊なほど流れる涙を拭うこともせず
嗚咽を抑えることもせず
智は心配げに覗き込んでいる修に向けて
最後の言葉を告げる。




「もう、すべて終わりにしますーーー」


……神様………………!!!!

翔に希望を与えてくれて、
ありがとうございます。

約束通り、
俺は一番大事なものを諦めます。

愛して…

愛して……

愛して…………

誰にも渡したくないほど愛し抜いた男を…………






 諦めます。




 
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