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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第6章 姑息な悪だくみ



そのわりに顔に汗が滲んでいる。
それは、熱のある証拠なのだろう。

「伊野尾、大丈夫か?具合はどうなんだ?」

朦朧とした様子の伊野尾の額に、手を当てる。

確かに熱かった。
智の言う通り、身体の弱い伊野尾が
こんな熱を出しているのなら、四の五の言わず
さっさと病院に連れて行くべきだ。

「キャプテン、やっぱり俺、
こいつを病院に連れて行きます。」

ようやく追いついてきた岡田に向かって言うと
翔はためらいなく掛け布団で伊野尾の身体を
包み込むようにして抱き上げた。

「……えっ……あっ…」

これには、さすがに熱に浮かされていたはずの
伊野尾も驚いた。

「いや……翔…ちょっと待てっ……!」

あまりの早業に、翔の行動を阻止できなかった
岡田も驚いた。

「何っーーーー…!?」
だが、一番驚いたのは翔だった。

抱き上げた瞬間、
布団の中からボトボトと床の上に物が
落ちたのだ。

「…これって……」
そう、それは、使い捨てのホッカイロだった。

それも……5つも………………。


たとえエアコンがついてたって…
この真夏に、頭から布団を被ってカイロを
抱いていれば、誰だって発熱するのは
当然のことだった。


つまり………………
どうやらこれは伊野尾と岡田がグルになって
翔を智の元に向かわせないように
わざわざ呼び出すために
打ったクソ芝居だった。

自分はそれに、まんまとノセられて
一番大事な人の言葉を信じずに
怒らせてまでここに足を運んでしまったのだ。



智からみても、完璧な裏切り行為に
なってしまった………………。

完全に伊野尾の手の上で踊らされたって?
どうやら、現状からいったら
そういうことなのだろう。




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