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もう迷わない辿り着けるまで〔気象系BL〕

第6章 姑息な悪だくみ



「俺はバカだーー!!」

翔は自分を叱責しながら、
インターフォンに拳を叩きつける。

最後に智が吐き捨てたセリフが、
耳から離れなかった。


『……好きなだけ他のやつの心配して
やればいいんだ。

大丈夫、もう俺は翔とは約束なんてしないから…
すっぽかされるような約束をするほど
俺は暇じゃないんだ…

いいか?よく覚えおけ
俺は、お前とは2度約束なんてしないから!!!!!』

自分では当然の選択をしたつもりでいたのに

でも、それは智にとって、
何よりもひどい裏切りだったなんて…………。

今思えば、智の怒りが本物だったなんて………
その言葉を聞くまで気がつかなかった。

ただ、いつものように頑固で拗ねていると
思っていた。
いくらなんでも病人相手なんだから
我慢してくれると思っていた…………

智なら折れてくれると……
甘えていたのかもしれない。

「おお、来たか、櫻井…」

玄関ドアが開いて
キャプテンの岡田准一が顔を出した。

「急に呼び出して悪かったな。

とにかく伊野尾のヤツが、
妙なうわごとばかり言ってるんだ……」

こんな場所なのに、
なんだか緊張感のない顔で
呑気に説明を始めた岡田の脇を
さっさと通り抜けて失礼しますと
律儀に挨拶をして家の中に入った。

「おいおい……待てよ……」
と、慌てて追いかけてくる声に、
翔は背中で問う。

「伊野尾はどこに居るんですか?」

「あー客間に寝かせてる。

2階の突き当りだ……」

「2階ですね?」

一段抜かしで階段を駆け上がると、
突き当りの部屋のドアをノックもせずに
開ける。

部屋の中は、ほどよくエアコンが効いているのに
寒気でもするのか、伊野尾慧は布団に
埋まるようにして眠っていた。







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