第5章 差し伸べられた愛の手
どれくらい眠っていたのだろう、なにやら騒がしい声が船内の地下にある部屋にも響く。
誰かが斬られる音、銃の音、嫌な音が響く。
人間オークションにかけられる前にここで殺された方がマシなのか、一瞬ルーミーの脳裏に過る。
しかし思い出すのは3人の兄のことだった。
「どっちにしたって悪いほうにしか転ばないなら今自分でできることをやる!」
ルーミーは紐で縛られている手首を左右に動かした。
紐と皮膚がすれて多少痛みがあったが空腹のほうが強かったので思ったほど痛みを感じず外れた。海賊たちは痩せて手首が細くなることまで想定しなかったのである。
そして足の紐も取ると久々に歩くのと空腹で歩くのでフラフラだったがなんとかドアの前まできた。
そしてドアに耳を立て様子を伺うと敵が勝ったらしく、宝を探している。
そして捜索している音もだんだん近づいてきたのでルーミーは思わずドアの横にあった樽に隠れた。