第4章 The Straight Road
「「ボハハハハーーーッ!!」」
水曜夜8時に響く2人の高笑いを和やかに見つめながら綴は食器を洗う。今テレビでやっている『ぶら霊』は今年の4月から放送されている人気番組だ。
「あーーーッ!!」
大きな遊子の声が響けば、どうやら来週はこの空座町に来るらしい。2人のはしゃぎようから行くことになるのだろうと当たりをつけて綴は手元の作業に目を向けた。
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「「「「「ボハハハハーーーッ!」」」」」
皆の明るい声が上がる。小島や浅野、ゲッソリとする一護を見て綴は楽しそうでよかったと笑った。
「綴じゃん、あんたも来るとは思わなかった」
「え、なんで?」
意外そうな有沢の声に綴も意外だと驚く。
「だってあんたあんまり霊とかこういうの好きじゃないじゃん」
「別にそういう訳じゃないんだけど」
「だけど?」
「……うーん、いやそうかも」
どっちつかずな言葉に「なんだよ」と有沢は呆れた表情になった。
「それより井上さんはいいの?」
2人は一護と話し込んでいる織姫を見た。とても楽しそうに喋っている織姫の表情は一護に好意を持っている事がありありと見えて微笑ましい。
「いいのいいの。別にあたしは。そういうあんたこそ一護はいいの?」
「え、なんで?」
先程みたく全く覚えがないという綴の頭に疑問符が浮かんでいる顔に有沢は何一つ変わらない2人の関係が見えて可哀想にと心の中で一護に手を合わせた。
一行はロケ地である廃病院へと足を進める。立地のせいか数年前に潰れたにもかかわらず荒れていた。街の中心に近いから不良の溜まり場にされたりしているのだろう。
「これより撮影を開始します!」という撮影スタッフの声に周りはどよめき前のめりに出ていく。その姿を後ろから眺めていた綴の隣には夏梨しかいなかった。
「行かなくていいの?」
「うん、あたし別に興味無いし。綴姉は?」
「私もかな」
興味無いがないと言う夏梨の顔を見れば少し疲れた顔をしている。スタッフが自分の縄張りに出入りしている事への虚の咆哮に精神を削られたのだろう。
夏梨の肩をそっと抱きながら「私の近くにいてね」と告げれば、「綴姉は意外と怖がりだよね」と夏梨は笑いながら身体を寄せてくれたのだった。