第10章 三匹が逝く!
閻魔殿の中には閻魔庁の高官用の寮がある。その中でも法廷に一番近い角に一際威圧感を放つ部屋があった
シロ「インディ・ジョーンズってこんな気分かな…」
貴方「少なくとも罠とかはないですよ。ラスボスはいますけど…」
柿助「難易度的にはストーリー後に登場する隠しボスですよね」
逆さ鬼灯の回りを炎が取り巻いたような意匠が掲げられた扉の前でゴクリと唾を飲む三匹
気分は正にダンジョン攻略前だ
瓜美がそんな三匹の様子を微笑ましそうに見つめていると、シロがあることに気がついた
シロ「あれ?あっちにも鬼灯が描いてあるよ」
そう言って前足で指し示したのは目の前の威圧感を放つ扉の右側
おそらく隣室と思われる扉だった
貴方「ああ、こっちも鬼灯の部屋……というか私と鬼灯の部屋です。元々は隣同士の二部屋を別々に使ってたんですけど、結婚と同時に繋げて一部屋にしたです。と言っても間の壁に扉を作っただけですけど、壁を取り払ったわけじゃないんです
瓜美の言葉に三匹はポカンした表情で数秒間停止した後、ハッと気付いたように騒ぎ出した
シロ「え、あ…そっか!夫婦なんだから一緒に住んでるよね!」
柿助「寮でそんな大胆に改装していいんですか!?……と思ったが、まぁ現世でも家族向けの社員寮とかあるしな」
貴方「そういうことです。マイホームも考えたんですけどお互い仕事が忙しいしので、こっちの方が何かと都合がいいんです」
最初に見つけた角の扉は寝室直結のため、基本的に誰かを招く時は元瓜美の部屋である右の扉から招いている
しかし疲労困憊で帰ってきた時や、寝室に積み上がった資料や薬などを持ち出す際に便利なので、どちらの扉もそのままにしてあるのだ
折角だからこっちも見ていく?という瓜美の言葉に、三匹は右側の扉を潜る
そこはひと続きになった広いLDKだった。生活感はあるが綺麗に磨かれたキッチンと四人掛けのダイニングテーブル
部屋の奥半分は小上がりの和室になっていて、四角い卓袱台やテレビが置いてある
シロ「すごい!ちゃんと普通の家だ!」
柿助「家だよ、失礼だなお前は!」
貴方「よく言われるから気にしないでください」
楽しげに笑う瓜美に安心したのか、柿助とルリオもシロとともに部屋の中を見て回り始める