第4章 実子誕生
「すまん、最後までいてやれず」
「マーマハハハ!この子達の顔を何度か見に帰ってくるってんなら構わないよ!」
滞在期間数ヶ月。クマラはログも溜まったからと移動しようと自らの船の前に立っていた。港にまでわざわざ顔を出すリンリンに、周りのものは相手は一体何者だと顔を見合わせる
別れを惜しむ息子や娘に目を細めつつ、クマラは、一人一人「強くなれ」と言って頭を撫でていった。言葉が分かるペロスペローとコンポートは、強く頷き二人して強くなると宣言する
その姿を愛おしげに微笑んで見つめたクマラは、満足して船に乗り込む。その姿を眺めていたペロスペローは不意に船に近寄った
「パパ!」
「?」
重りをあげようとしたクマラに近付き、ペロスペローはギュッとその身体に抱きついた。コンポートもいそいそと近付き、空いたスペースに抱きつく
お別れしたくない、と小さく呟いたペロスペローに、クマラは「強くなったらちゃんと逢いに来てやる」とペロスペローの額に口付けた。うっとりした表情で額に手をやるペロスペローは、もう一度クマラに強くなれと告げられ、今度は弱々しく頷き返す
船から下ろし、手を振りつつ出航したクマラの船は元から小さいのもあってか、少し離れるだけでも小さくなり見えずらくなっていく。コンポートやペロスペローがリンリンの袖を掴むと、その様子を見て「オレの子だねぇ」と笑った
次、いつ会えるかは分からない。だが、それがクマラさんだとリンリンは語る。自由気ままにやってきて、去っていく……そんな人だと
またいつか、どこかで。ペロスペローは初めて出来た“パパ”に思いを馳せ、リンリンや妹、弟たちと共に拠点に戻っていくのであった