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ただそこで生きて【竈門炭治郎】

第2章 幼馴染


「〜!もう8時だ!起きてくれ!遅刻してしまう!というか遅刻決定だ!今から走っても間に合わない〜!」

「ぅにゃ…やだもん、もっとねるもん!ねたい!たんじろもねよ!」

「〜〜!」



あ、はじめまして!

竈門炭治郎です。


キメツ学園に通うごく普通の男子高校生。
ついこの間3年生に進級したところだ。

そして、この目の前でベッドから出ようとしない女の子は俺の幼馴染の。


小学生の頃から家が近所で一緒に登下校したりしていたんだけど、小学3年生くらいだっただろうか?
の家から怒鳴り声が聞こえてきて、雪の降り頻る寒空の下、が裸足で玄関先に放置されているところを見つけて、そこではじめてが虐待を受けてることを知った。

それを家族に話したら、を竈門家に引き取ろうという話になったのだ。

普通なら子供を引き取るなんてこと簡単にはできない。
何なら裁判沙汰になることのはずだが、シングルファーザーであった当の父親がにネグレクトと虐待をしていた挙句、

「そんなゴミでいいなら連れていけ、俺もその方が楽だ」

なんて言っていとも簡単にのことを差し出したのだ。

あの時は流石に頭に血が上って危うく殴りかかるところだったが、もうこの先関わりたくなかったからそこは我慢した。

しかも、俺の知らない間にはその父親のせいでひどくやつれていた。

まともに食事も与えられていなかったんだろう、元から細かったからだはもっと細くなっていたし、ひどく人を怖がるようになった。

あのまま気づけなかったらどうなっていたんだろう、は壊れてしまっていたんだろうか?

いや、もう遅かったんだろうか。の左手首には、何度も刃物で切りつけたような傷があった。

ああ、もっと早く気づけていたらは。

…それ以来、のことは俺が護ると決めた。

もう二度とに傷ついて欲しくないんだ。



「〜!お〜き〜て〜く〜れ〜!」


「やだぁあああ〜!」



これは、そんなと俺の
ちょっとした小さなお話。

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