第6章 すこし未来のおはなし
「ちゃんと布団かけて寝ないと風邪ひくぞ〜。」
「うにゃ〜〜…」
は、少し寝相が悪い。
のびのび寝ている姿が子供みたいでまた可愛い。
あー、袖もめくれちゃってるなぁ。
………。
傷、減ったな。
偉いな。偉い。よかった。
「…ふぇ、え?!たんじろ?なんで泣いてるの??」
「…ふふ、なんでもないよ、大丈夫、嬉しいだけだから」
「??」
「それより今日一緒に映画に行く約束だったろ?
時間、ギリギリだぞ?」
「…ふぁっ!?ほんとだ!!えええ!おきるーー!」
のうつ病はまだ治ってない。
というか、完全に治ることなんてないのかもしれない。
1度壊れてしまった心はなかなか元には戻らない。
だから俺は、ばらばらになってしまったの心を下手なりに、つぎはぎだらけだけど、もう一度、少しずつ形をつくっていくことにした。
頻度は減ったものの自傷癖はまだ健在、でもODはだいぶ減った。
真夜中に死にたい、とパニックになることも減った。
というか、最近はほぼ毎日一緒に寝てるし。
そういえばあれから俺達は、
不思議な関係になったと思う。
家族なんだけど、
多分俺のこれは家族愛を超えている。
に毎日好きだよ、と言う。
はそれを嬉しそうに、安心したように聞いて、「も」、と返してくれる。
友達から「付き合ってるの?」とよく聞かれるけど、
それが、俺にはこれが恋愛感情なのかはよくわからないんだ。疎いから。
ただひとつわかるのは
俺達はお互いにお互いを大好きで、
お互いがいるから生きていられるということ。
難しいことを考えるのはやめた。
俺はただが好きだ。
も俺を好いてくれている。
それ以上に何がいるというのか。
「たんじろ、おなかすいたね」
「禰豆子がホットケーキを焼いてくれたからそれを食べようか」
「え〜!禰豆子ちゃんすごいね!食べる!」
今日も生きててくれて、ありがとう。
ーfinー