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銀のヴィオラ 『ハリーポッター』

第33章 眠り姫




心底ため息が出る


が、今は別にそんなことはどうでもいい
「その時」は、まだ来ない

始祖の計画は、もう少し先なのだから







「……死なれたら困る」

ヴィオラに顔を近づける

普段の態度からは想像も出来ないほどの優しい瞳で、彼女を見る


「お前は生きてもらうぞ
俺のためにも、これからのためにも」









ゆっくりと動き


深く口付けをした








「………………」



何度も繰り返した

音が鳴って、離してはまたキスをして




チュッ、チュッ





どれくらいそうしていただろう


少し酸欠になって、息が荒々しくなってきた





(これで問題ないはずだが…魔法力回復にはもう少し眠る必要があるな)


眠るヴィオラをそっとしておく

自分もベッドに座って、ヴィオラを見つめる




「………………」



美しい少女だった

ピンクブラウンの髪はとてもあでやかで、柔らかい
何より顔立ちがひどく端正で肌も白いので、ずっと動かないでいると、一瞬人形なんじゃないかと思ってしまう


でも、家族である人間の誰とも似ていない

唯一似てると思うのは、彼女の祖母であるカトリーヌだ
彼女もピンクブラウンの髪だった

そして、カトリーヌの傍にはもう一人いた
ピンクブラウンの髪を持つ女の子が


思い出すと記憶がぼんやり蘇ってくる
多分カトリーヌよりその女の子の方が、ヴィオラに似ているかもしれない










「眠り姫の王子様は俺ってわけか
はは、皮肉なもんだな」

自嘲的に笑う



眠り姫は糸車の呪いによって、永遠に眠り続ける事になる
が、眠り姫を想う王子様は、眠る姫君にキスをする
姫君はそれにより、長い眠りから目を覚ます
そして、王子様と結ばれましたとさ




こんなハッピーエンドの話だ

馬鹿みたいに幸せそうで、優しくて、自分なら砂糖でも吐いてしまうんじゃないかと思うくらい甘い





だが、この眠り姫はそこまで幸せではない
これから幾度となく、悲しみや憎しみを感じ、寂しさを味わうだろう





ーーーーーーーー愛されないのは辛い




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