第3章 出会い
今自分がまっすぐ歩けているのか、分からない。
歩くというより、ふわふわと浮いている感覚だ。床はない。
まわりは暗闇で何も見えない。
少し恐怖を感じるが、ここまで来たのなら進むしかない。
帰れるんだろうか。帰れなかったらどうしよう。
色々心配ごとが出てくるが、足が止まることはない。
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母「ちひろ、よく聞きなさい。あなたに隠していた事があるのよ。」
ふと、ある記憶が蘇る。
もう何年も前の事だ、
ち「かくしごと?なんで?」
母「ごめんね、今は言えないのよ。あなたがもっと大人になって、ちゃんと理解できる年になったら言うわ。それまで、″この事″は秘密よ。誰にも言っちゃだめ。」
ち「なんで?」
母「なんでもよ。お願いだから言うこと聞いて。」
ち「分かった…。」
辛そうに微笑んだ母の姿。
いつの話か、細かくは思い出せないが、ちひろの過去の記憶なのは分かる。
そうだ、この時にわたしは…
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その時、前方に光が現れた。
出口か?????
ちひろはただすすんだ。
目を開けると、景色が変わっていた。
森の中である。車も通れないほどの小さな道がまっすぐ続いている。
ここは一体…?
上を見上げると空が見える。
あれ、夜中の割には明るい…?
夜が開けそうな空色だ。
とりあえず、進むしかない。
ここが一体どこなのか。気になって仕方ない。
ちひろ自身、あの部屋で15年過ごしてきたはずだが、こんな経験は初めてである。
半袖、半ズボン、裸足状態で森の中を歩いている。少し肌寒い。
どこからか鳥のさえずりが聞こえる。
ち「ここは…」
着いた場所は、ある木製の建物だった。