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【YP】明日もきみは風になる。

第1章 春は出会いの季節です。




〜✽〜✽〜✽〜


どうしよう。早くなんとかしなくては。
誰か、車でも人でもいいからすぐに上ってきてくれないだろうか。


私は山の斜面を駆け下りながら願う。
どうしてもう少しきちんと荷物を確認してバスを降りなかったのか、自分を責めるけれど今となってはもう遅い。


私達はこれから数日間合宿のため、皆でバスに乗り合わせ合宿所へと向かっていた。


しかし途中で小野田くんが体調不良になり、やむなく下車。付きそいで私も降りたのだけど気が回らず、財布や飲料水が入った鞄を車内に残してきてしまったのだ。
カラカラで干からびてしまいそうな小野田くんをその場に残し、動ける自分が何とかしなければと山中をひた走っている次第だった。


少し待てば迎えの車が来る手はずになっていたけれど、具合の悪い彼を見ていたらただ突っ立って救援が来るのを待つというのは心情的に難しかった。


一刻も早く冷たい飲み物をあげたい。


中学の時部活を引退して以来、運動らしい運動は体育くらいしかしていない。
そのためか、少し走っただけでも息が上がってしまうようになっていた。
両膝に手を置いて体を屈めて息を整える。


情けない…


これを機にまた体力作りをしなければと心に誓い再び顔を上げると同時、坂の下からぐんぐんと自転車で登ってくる人影が見えた。


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