第1章 春は出会いの季節です。
嬉しかった。
自分が好きなものに興味を持ってもらえることが。
人によっては好きなことを伝えるだけで引かれるような対象であるものを好むだけに、余計嬉しかった。
「今泉くんは、引かないね。」
「まあ、アニメのことはよく知らねぇけど…好きなもののことを他人にゴチャゴチャ言われる筋合いは無いだろ。それに…」
「?」
「好きなことについて話してるとき、良い顔してるからな。他人のことばかり気にして自分を抑え込んだら、もったいないと思うぜ。」
「……………!」
「……………急に俯いて、どうした?」
「ごめん、泣きそう」
「はあ?!俺泣かせるようなこと言ったか?!!」
「ううん、嬉しくて」
アニメ研究部は再建できなかったけど。同志とたくさん巡り合うこともできなかったけど。
こうやって、アニメとは縁遠い世界にいるのに、理解して努力しようと歩み寄ってくれる人もいるんだ。
そう思うと、難しく考えて肩肘張っていたことがおかしく思えてくる。
「あ!さん、今泉くんおはよー!!」
「こらスカシー!お前何抜け駆けして…………って!!!ちゃん泣かしとるやんけー!!?」
「ど、どうしたのさん!?」