第17章 灯籠
家に帰ったらおじいちゃんとおばあちゃんが嬉しそうに出迎えてくれた。
上手だった、格好良かった、思わず泣いてしまった。
そう言ってくれた。
「私も泣いちゃったの。顔ひどいでしょ?」
「何言ってるんだ、そんな美人な顔して。」
「ふふ、おじいちゃんの方が泣いてたわよ。」
「それは言うなよ、うぅ、また泣きそうだぁ…!」
「もうおじいちゃん!!」
食事を囲んで。賑やかに会話をする。
でも、複雑なこともあった。
…もし、父さんと母さんが…見ていたら…。
こんな風に、喜んでくれたのかな?
夜、一人でベッドに寝転ぶと…そのことばかり考えてしまった。
今日の私は二人の望む私だったはず。きっと今日の私を褒め称えてくれた。
……でも。
二人はいない。
私を愛してくれる両親はいない。
悲しい。
悲しい、悲しい。
向こう側の私の気持ちがわかる気がした。
こんな気持ちを抱えて生きるのは、地獄だ。
だけど、私は生き抜いた。地獄を生き抜いた。
だから、わかってほしい。
生き抜いた人生、全てが地獄じゃなかったんだって。
……地獄のなかに、蜘蛛の糸はあったんだ…。