第5章 甘味屋での甘い休息
光秀は九兵衛とともに、安土城の最奥にある牢へと足を踏み入れていた。
「光秀様、あの者です」
「–––客人をお待たせしてすまなかったな」
「……っ、お前は……明智光秀!」
「これからいくつか『質問』をさせてもらう。よろしく頼むぞ?」
「はっ……、やれるものならやってみるがいい、化け狐め! 殺されても口は割らんぞ!」
「何、命まで取る気はないさ。『いっそ殺してくれ』とお前が泣いて懇願しようとな」
「ひ…………っ」
光秀が口元に冷たい笑みを浮かべて男に言う。
しかしその瞳には悲しみにも見える色が浮かんでいた。
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