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【ワールドトリガー】犬飼澄晴 短編集

第10章 いつもいつも来ませ


今日は高校は休みだし、ボーダーも非番。葉瑠と買い物するために、駅前で待ち合わせしていた。待ち合わせ場所に着くと、葉瑠は先に着いて、本を読んで待っていた。手には、あのしおり。誰かにもらった花を、わざわざ押し花にして、貼ってあるしおり。
あーだめだ。うじうじ悩むのは柄じゃないよね。早足で近付くと、葉瑠は俺に気付いたらしい。こちらを向いて笑いかけて、止まった。俺、そんなに酷い顔してる?しおりを持っている葉瑠の手首を掴んだ。そして、顔の高さまで持ち上げた。
これを聞いて、万が一俺らの関係がぎこちなくなったらどうしようとか考えもするけど、もう限界だ。さあ、答え合わせといこうか。

「葉瑠、教えてよ。しおりに貼ってある花。誰にもらったの?何でそんなに大事にしてるの?」

「澄晴くん……」

「言えないことなの?」

「何て言うか、言っていいものなのかどうか……」

何それ意味がわからない。イライラして急かす。

「どういうことだよ」

葉瑠は目を見開いた。そしてまばたきをひとつ。時間の流れが変わったかと思うくらい、ゆっくりに感じた。開いた瞳が俺に向いた。そうだよ。ずっとこっちを向いていてよ。

「澄晴くんごめん、そんな顔させて。話すよ。今、話すから」

そう言って、空いている手で俺の髪を撫でた。無性に泣きたくなった。





結局、買い物は止めて、葉瑠の家に来た。葉瑠と俺はローテーブルを挟んで向かい合うように座る。葉瑠は口を開いた。



3年くらい前のことだ。時任葉瑠はアタッカーとして隊に所属していた。その頃の私はというと、個人戦績が伸び悩み、隊のランク戦でも足を引っ張っている気がした。ボーダーにいても辛くなるばかり。ちょうど、隊長は進路の関係で、ボーダーを辞めるため、近く隊の解散が決まっていた。もう一人の隊員は、自分の隊を持ちたがっていた。私は「アタッカー辞める。そのあとのことは考える」と伝えた。もう高3だし、卒業するときにボーダーも辞めようと思った。ただ自分でも、逃げているという自覚があって、全然すっきりしなかった。また、ボーダーで誰かに見られるだけで、こんな自分をバカにしているんじゃないか、情けないやつだと思ってるんじゃないか、なんて思っていた。

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