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【ワールドトリガー】犬飼澄晴 短編集

第9章 21歳組飲み会(2) (→)




すると、4人は思い思いに話し始めた。

葉瑠が辞めるって聞いたときは心配したが、よく腐らずボーダーを続けたな。
いやー。辞めるって言ったときの葉瑠っていやぁ、すごく暗くて、近寄れなかったしな。
でも、しばらくして、突然元に戻ったな。それで少しして、エンジニアになりたいからどうしたらいい?と雷蔵に突進していた。
良かったよなー。
心配したんだぞ。

驚いた。当時のことは、葉瑠が思っていたより、ずっと、心配をかけていたらしい。

「なんか、すごく気にかけてくれてたみたいで……。ありがとうございます」

ぺこり、とお辞儀する。そして顔を上げると、4人が笑って葉瑠を見ていた。

「苦しゅうないぜ。じゃあ今日は葉瑠の奢りな」

「うげっ」





正直に言えば、葉瑠は、当時のことを思い出すと、今でも少し苦しくなる。あのときこうしていれば、続けていれば、と考えたこともある。それでも、当時の葉瑠は苦しんで、もがいて、一つの結論を出したのだ。自分に正直に答えを出した。この事には自信がある。だから、大丈夫。
それに今の生活は、楽しいしね。葉瑠はしおりを見つめ、微笑んだ。


今日も夜は更けていく。
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