• テキストサイズ

Amor vincit omnia__愛の勝利

第18章 お題(全キャラ+‪α)



青峰大輝

*******

「…はぁ、お前ダルい。前の女の方がよかったわ」
「っ…もう青峰なんて知らない!」


バスケ部の部活中、バタバタと体育館から出ていく彼女。


「…チッ」

青峰は苛立つようにボールを投げたが、ゴールに嫌われバンッと床に叩きつけられたボールはコロコロと静かに転がっていった。



「おい、青峰、ボールに八つ当たりせんといてな」
「ダメっすよ、今吉さん、聞いちゃいねぇ」
「ひっ…青峰さん怖いです…」

「もう、大ちゃん!」


メンバーが声をかけるも返事はなく。青峰ははぁ、と項垂れるように壁を背にして座り込んだ。




「なんや、喧嘩したんかいな」
「…うるせぇ」
「頼華を泣かせたらあかんやろ」
「…あんたに言われる筋合いねぇだろ」
「なんや、女のせいかいな。小さい男やで」
「…あぁ!?」

苛立つ青峰に緊張感が走る。


「…はよ、追いかけや」
「……んな事わかってんだよ」


青峰は立ち上がると体育館の出口に向かって走り出した。



「青春やんなぁ」
「そんな悠長な…」

ははは、と今吉は笑っていた。






「ったく、やっぱここに居たか」

頼華を見つけるのは容易かった。
体育館の外にある手洗い場の下にしゃがみ込むようにして座っていた。



「……」
「…頼華、」


しゃがみ込んだ青峰は彼女に手を伸ばしたが、それは彼女の手で叩き落とされた。



「な、によ。」
「………」
「何しにきたの…っ?」
「……悪ぃ」
「…しら、ないっ」
「…前の女の方が良かった、とか、あれ、嘘だからよ、」



青峰の先程の言葉がまた彼女の心に突き刺さる。


「っ…元カノさんとこ行けば…っ」
「…馬鹿言ってんじゃねぇよ」


ったく、と彼女の手をぐいっと引っ張りあげ無理やり自分の胸に抱き込んだ。


「!…も、やだぁ…!」
「…頼華、」
「あおみね、なんて、っ嫌い…!」


今までに何度か喧嘩をしたことはあったが、ここまで頼華が泣いたことは無かったし拒絶なんてなかった。
頼華の嫌いという言葉が青峰に突き刺さる。
と同時に素直になれない自分に腹が立った。

/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp