第18章 お題(全キャラ+α)
跡部景吾
『その罪ごと』のヒロインです
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「…俺がそんな男に見えるか?」
放課後の学園内の生徒会室で、言い争うふたり。
「…だって、あんな所で女の子と2人って…」
時は遡り、お昼。
いつもの様に生徒会室にいるであろう跡部の元に頼華は急いでいた。
初めの頃は、クラスまで跡部が迎えに来ていたのだが、クラスメイトに冷やかされるのが耐え切れず、最近は自分から跡部の元に向かうようになっていた。
「景吾くん、来たよ」
何時もならばノックすると同時に部屋の扉が開き跡部に招き入れられるのだが、今日は違う。返事がない。
御手洗でも行っているのか?と思いながらもノブを回せど鍵は閉まっていた。どうしたものか。
探しに行こうと頼華は踵を返す。
すると、どこからか聞き覚えのある声がした。
その方に足をやると周りからはあまり見えない、死角になっている、所謂サボり場と呼ばれている所に跡部はいた。
声をかけようと近づいた頼華だったが、すぐに後悔した。
そこには女の子を抱き締めている跡部がいたから。
頼華はいたたまれなくなり、足早に教室に戻ったのだ。
ご飯を食べる気にもなれず、そのまま5時限目を過ごした。
今日は部活を休もうと思ったが、跡部が迎えに来てしまいそして今に至るのだ。
「…どうしてあんな所にいたの?」
「それはお前には関係の無いことだ」
「…っ」
何も答えない跡部に苛立ちを隠せない頼華。
「……」
「…はぁ。前の女はそんな事気にしちゃいなかったんだがな」
「…!」
跡部の言葉が心に突き刺さる。
「…ごめんね、もう、いい」
俯きながら震えた声で呟いた頼華の言葉にハッとする。
泣かせたい訳じゃないのに、泣かせないと約束したのに、それを破ってしまった。今のは違う、と踵を返して走り出そうとする彼女を後ろから強く抱き締めた。
「は、なしてよぉ…っ…」
「違う、違うんだよ、頼華」
「何が違うの、っ??前の彼女さんとこに戻ればいいじゃない…!」
「ごめん、悪かった」
だから泣かないでくれ、と跡部は言う。
「お前しかいないんだよ、頼華」
「意味、わかんない…っ」
尚も振りほどこうとする彼女の手を強く握った。
あぁこんなにも愛しているのに。