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【刀剣乱舞 R18】クロユリを食む

第3章 生きる為には食べよ


「可愛いなぁ」

すすーっと、もう一度背筋をなぞる燭台切様の指。


「っ…ふぁぁッ…」


また、先程と同じ感覚が身体を走る。

全身に電撃が走るような、
ゾワゾワと擽ったいような、それでいて、身体をフワフワと宙を浮くような感覚。


「しょ…く、だいきり、様…」


何かにすがりつかないと自分を見失いそうで、彼の着ている服をぎゅっと掴んだ。



「フッ」と燭台切様は笑う。

その表情は我が子を見守る親の様な…
小さな子を慈しむ保護者の様な…
そんな表情に似ていた。


「本当はね、このまましてしまいたいんだけど時間切れだな」


抱きしめられていた腕が解かれる。

燭台切様の熱を感じていた肌が、ひやりとした空気を纏った。


「…燭台切様?」


何か粗相をしてしまったのだろうか?
気を削いでしまうような行動をしたのか?

ここの人達に気に入られなければ、私はどうなる?

叱られる?
あの店に戻される?
また、捨てられる?

もしかして、殺される?

頭の中を急速に駆け巡る不安感。

一度絶望したのに、今の行為で温かさを知ってしまったから…

また、奈落の底へ突き落とされるのが怖くなった。


『もしかして…』という思いが消えなくて、身体がガダガダと震え出した。


「怖がらせちゃったかな?ごめんね。もうすぐ、乱くん達が来るから、本丸を案内して貰うついでに湯浴みをしてくるといいよ」

横たわったままの私の乱れた衣服を直して、燭台切様は立ち上がる。

「燭台切様。あの…」

咄嗟に私も身体を起こした。

振り向いた燭台切が言う。

「ねぇ、彩。さっきも言ったけど、僕が立候補する事を覚えておいてね。ちゃんと優しく、大切にするよ」

その言葉の意味が分からない。
分からないのだけれど…
私がコクリと頷くと、彼はまた優しく微笑んだ。

「じゃぁね」

パタンと障子扉が閉まる様子をぼんやりと眺めていた。
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