第4章 欠けた月に浮かぶ蜜影 / ◆
狂い咲いた夜は、
赤裸々にお前だけを想う。
欠けた月が映し出すのは───………
浅ましく乱れる、俺の月影。
愛してるんだ、
────お前だけを……美依
「んっ…ぁっ……」
息が荒れる。
酷く寒い夜なのに……
躰は火照って、ひたすらに疼く。
ゾクゾクと腰から這い上がるような。
そして高ぶる。
気持ちも躰も、馬鹿みたいに。
何…欲情してるんだ、俺。
こんな、みっともなく。
────でも、止まらない
お前が欲しすぎて…美依
「はぁっ……」
大きく息を吐いて天井を仰いだ。
壁を背に胡座を掻き、だらしなく緩んだ袴と…
そこから姿を表す屹立した男の欲望。
その猛った熱を握り、無心で扱く。
にちゅっにちゅっ…と卑猥な水音が響くのは、漏れ出た露で高ぶりが濡れているからだ。
……気持ちいい。
扱くたびに直接的な快感が躰中に走り、みっともなくもそれに浸ってしまう。
こんな風に熱くなった躰。
お前が癒してくれたらいいのに。
もう手が負えないくらい、持て余してる。
お前を想うだけで、限りなく高ぶって。
桃色に染まる刹那を夢見る。
お前と──……
ひとつになる瞬間だけを、思い描いて。
「ぁっ…ふっ……」
なんだ、この声。
自分のじゃないみたいに、甘い。
次第に熱を擦る手の動きは早くなっていき、一直線に欲望を吐き出す瞬間を目指して駆け上がり。
腰が震えてきて、また痺れるように疼きが走った。
もう、限界が近い。
一人で慰め、そして果てるのか。
本当にみっともない、でも……
お前が癒してくれないのなら。
俺は、このまま淫らな姿を、
月影に映すだけだ。
「んっっ………!!」
びゅくっっ……
息を詰め、躰を震わせた刹那。
呆気なく白濁とした欲は吐き出された。
どろどろと熱いそれは、竿に流れて、それを握る手をでろでろに汚し。
一回じゃ収まらず、二回三回と何度か吐き出されて、袴にまでぽつぽつと滴った。
「はぁっ…はぁっ……」
ようやく息がつけて、荒く吐き出したら軽く目眩がした。
吐精で得られる、強い快感と解放感。
それでも…どこか虚しい気持ちだけが残った。