第11章 拾壱ノ型. 無限列車
_____________
___________________
________________
________
_____
途方もない闇。
先程まで感じていた痛みは消え失せ、
(ああ、俺は死んだのか。)
そう漠然と理解した。
宛もなく闇の中を歩いていれば、
誰かに手招きをされた。
そっちじゃない。
此方においでと、
優しい声で呼ばれる。
男の声だ。
その声に誘われるように、薄らと見える光へ歩みを進める。
道中その声と色々な話をしたと思う。
生い立ちだったり、残してきた家族の事、
今回の任務の事や
竈門少年に頼む事しか出来ず、直接伝える事の出来なかった刹那への想いの話だったり。
光が近づき辺り一面が明るくなった頃、ふとその声に聞き覚えがある事に気付く。
己の記憶を手繰り寄せて、
それがいつか聞いた刹那の父親の声だと気付いたのは、意識が現実に戻される少し前だった。
もう声を出す事は出来ず、いつの間にか後ろに立つ刹那の父に体だけ向ければ
「また会おう。強く気高い炎の獅子。俺が戻るその日まで、娘を頼む...」
それだけ言われ、一気に身体中に痛みが蘇った。
聞こえる喧騒と、胡蝶の自身を呼ぶ声に死の淵から帰ってきたのだと知る。
重い瞼を何とか開けて一番最初に目に飛び込んできたのは、
泣きじゃくる竈門少年と黄色い少年、そして豬頭少年の顔。