第8章 捌ノ型. 悪意には悪意を
「お嬢!!」
「刹那!!」
知らせを聞きバタバタと部屋へ走り込んだ朱嘉と煉獄が見たのは、体を起こして困ったように笑う刹那と
そんな刹那を抱きしめ離さない烟霞、手を握ったまま説教をする紫苑の姿だった。
「貴方はもっと自分が美しいって事自覚してください!毎度毎度肝が冷えるんですよ俺達は!!」
「紫苑、うるさいぞ。刹那様が困ってる。」
「烟霞は姫さんを甘やかしすぎなんです!大体もっと早くって...ちょっと朱嘉!!」
永遠と小言をぶつける紫苑を押しのけて朱嘉が刹那の手を握る。
『朱嘉、あらあらどうしたのそんなに泣いて。』
部屋の入口で動けない煉獄からは朱嘉の顔は見えないが、肩が震えているから相当泣いているんだろう。
さらに困ったように眉を下げた刹那が、烟霞と同じように大柄な朱嘉を抱きしめた。
『本当に、顔に似合わず涙脆いのだから...』
「心臓が止まるかと、思った...」
『ごめんなさいね、心配をかけたわ。』
そのまま優しく朱嘉の頭を撫でる刹那を見て、俺もと言うように蛍清もその輪に入る。