第23章 これは戦争です
宗次郎に映画のDVDを見せてロマンティックの研究中。
宗次郎の気になるシーンを解明していってるんだけど…
「…あとは、なんでこんなに僕が叶さんに尽くさないといけないんですか。」
「え?そこ?尽くす系全般ダメとか?」
「例えばこれ。」
巻き戻しボタンを押してあるシーンで停止させる。
「…なんでトロい叶さんを待って、その上その苦心も一切出さずに、しかも一々手を差し出さなきゃいけないんですか。」
「ああ、そこね。…うん、さっさと来いやって殺気向けられそう。」
「あとこれも。」
ヒロインと男の子がずぶ濡れになるシーン。
「一緒にずぶ濡れになりたいですか?」
「あー…それは…」
自分たちの場合…
キャッキャッと騒いで、若気の至りで自ら海や川にダイブする…水しぶきと太陽でキラキラとしてて…
──なんてことはまずないだろうなと叶は考えた。
多分あるとすれば…どこか川沿いを歩いてて…
『まったく、叶さん手を煩わせるんじゃありませんよ。』
『う、うるさいなぁ。仕方ないじゃない。』
『なんで僕が叩かれなきゃいけないんですか。』
『ぎゃっ!倍返しとか聞いてない…!』
宗次郎のものすごい報復でバランスを崩して足が縺れて…
『きゃあーっ!落ちる落ちる落ちるっ!』
『あ、ちょっと、引っ張らな…』
ばちゃーん!!
…って感じかな。
叶は思わず身震いした。
「…おまえ何やってんだ道連れにすんじゃねーよって殺気向けられそうだからやめとくわ。賠償請求されそ、あ痛っ」
「勝手に物騒な物言いに僕の台詞作らないでくれません?」
「そう、こういうの!こういうのがムードぶち壊しなんだと思うのよね。」
「いえいえ、“恋人”として真っ当なたしなめを行ってるんですよ。」
「……(恋人…///)」
「叶さんには一般常識を身につけて貰わないと。恥をかくのは僕ですからね。」
「……」
「あと、気になったのは…」
宗次郎は再度リモコンを操作して今度は早送りを行う。
「ああいう抱っこされたいですか?」
「お姫様抱っこのこと?えー!?いいじゃない!!」